フィリピン探訪記:2日目

フィリピン探訪記:2日目

誰かの足音で目が覚める。

いつもは部屋で1人で寝ているので「あれ?もしかして誰か部屋に入ってきた?(汗)」と、強盗の可能性を疑いながら目を開けると、そこは見慣れない部屋だった。

「あ~、そういやフィリピンに来てるんだった…」

部屋を見渡したところでようやく自分が昨日、フィリピンに来ていたこと。

そして、足音は自分の近くを通ったメンバーのものだと理解する。

 

時間を確認すると8時。

寝たのが3時ぐらいなので5時間睡眠だろうか。

普段は7時間ぐらい寝るようにしていて、それに慣れているので5時間睡眠では眠いかと思いきや、そんなことはなかった。

せっかくの異国の地に来ているということもあり、異様に目覚めが良い。

日本にいるときも毎日これぐらいサクッと起きることができたら、どれだけいいかと思った。

 

起きると一部のメンバーはすでに中庭にある食卓に向かっていた。

 

(それぞれ別日、撮影)

 

全体像の写真がないのだが、1枚目の写真のように広い庭の一角に屋根付きのテーブルがあり、そこに食事が用意されていた。

 

余談だが、この家かなり大きく1枚目の写真の右側に2階建ての家が建っている。

家自体も相当大きい。

家主家族の他に7人泊まっても、余裕でスペースがあるぐらいと言えば伝わるだろうか。

日本でいえば東京周辺のベッドタウンではまずお目にかかれないような規模感であった。

 

ホームステイ先の家の持ち主は「ヴィーノ」という中年の男性。

棺桶制作の会社を経営している恰幅のいいナイスガイだ。

外見としてはプロ野球選手の「アルフレド・デスパイネ」に似た人だった。

なお、メンバーにこのことを言ったが誰一人デスパイネを知らず、共感してもらえなかった(´・ω・`)

フィリピンで唯一、心が折れそうになったできごとであった。。。

 

家族みんなでお腹いっぱい食べる

食卓につくと、ヴィーノの家にいるお手伝いさんからコーヒーを飲むかと聞かれた。

見ると3種類の粉末コーヒーがあった。

  • 黒いパッケージ
  • 茶色のパッケージ
  • 赤のパッケージ

個人的にコーヒーはブラックが好きなので、ぜひともブラックが飲みたい。

僕は迷わず黒を選択した。

粉末なので美味しいかはわからないが、フィリピンのコーヒーがどんなものなのか期待しながら一口。

「あっま…」

めちゃくちゃ甘かった。

ブラックかと思いきや、砂糖を何杯も入れたような甘さであった。

飲めなくはないが割りとしんどいレベルである。

申し訳ないが普通のブラックが飲みたい。

お手伝いさんにこれは甘すぎるからブラックコーヒーはあるかと聞くと「ない」と言われた。

詰んだ。

瞬間的にそう思った。

 

というのも、フィリピンではコーヒーに限らず、基本的に飲み物は甘いものばかりだそうだ。

ここにあるもの全て甘いコーヒーだけ。

そう言われてしまったら、もうどうしようもない。

 

ブラックコーヒーは諦めて、食事に取り掛かる。

取り掛かるのだが…。

どう考えても量が多い。

煮込み料理と炊いた米が出てきたのだが、煮込み料理の量が明らかに多すぎる。

絶対に7人で食べきる量ではない。

「いや、これ作る量、間違えてるでしょ」

そう思ったが、ここでも日本とは違うフィリピンの考え方があった。

 

というもの、フィリピンでは1日3食、食事の際は家族みんなで集まって、お腹一杯になるまで食べまくるらしい。

日本のように腹八分目なんて概念はなく、とにかくその瞬間に食べれる限界量を食べきると。

で、家族みんなでそうやってお腹いっぱい食事をすることによって幸せを感じる。

それがフィリピンに住む人たちの価値観なのだと。

 

だから、基本的に量が多いのである。

味自体はとても美味しく、お店で出てきてもおかしくないレベルだったが、いかんせん量が多い。

とにかく圧倒的な物量で攻め立ててくる。

結局、最後の最後までフィリピンの食事の量にはメンバー全員が苦労することになった。

 

そんなこんなで食事をした後は休憩。

(食事は結局、食べきれずお手伝いさんたちのご飯になっていった)

2日目は特に予定は入っていなくヴィーノの家でゆっくりすることになっていた。

限界近いところまで料理を腹に詰め込んだ関係で苦しかったので食卓に椅子に腰かけて一休み。

フィリピンに来て、初めて落ち着くことができた。

他のメンバーも椅子に腰かけて談笑したり、木製のソファ席で寝ていたり、部屋(クーラー有)に戻って休んでいたりと自由に過ごしていた。

 

メンバーと談笑しながら、ゆっくりしているとお手伝いさんが料理を運んできた。

「え、まだ全然消化してない…」

そんな思いと裏腹に用意される昼食。

フィリピンの人にお腹が空いていないから昼はなし、といった考えはないようだ。

心なしか朝よりは量が少ないが、今のお腹が空いていないコンディションで食べきるのは至難の業であった。

 

フィリピン特有のゆっくりした空気感を堪能する

そして、昼食後。

(結局、昼も出された食事を全て食べきることはできなかった)

昼食が終わったからと言って、特に何かすることがあるわけでもなかった。

一応、ヴィーノの家にはwifiも飛んでいるため仕事もやろうと思ったらできたが、さすがにそれはないし、何よりやる気が起きなかった。

 

というのも、半日ほどヴィーノの家にいて思ったのがフィリピンはとにかくのどかなのである。

夏の気温で日陰にいて、風も抜けるので気候的にもちょうどいい。

お手伝いさんも仕事はしているがのんびりしているし、その作業音(皿洗いとか)がいいBGMになる。

空は青く快晴で小さな雲がいくつか、これまたゆっくりと流れていく。

そして、何よりゆったりした空気感。

仕事をしていなくても、だらけていても許される、誰にも怒られない。

各々で好きなように時間を浪費していいという特有の空気感。

これに当てられては仕事なんてする気にはなれなかった。

 

その代わり、おやつに出てきた甘く煮たバナナとタピオカを一緒にしたものを平らげておいた(笑)

 

 

お手伝いさんがバナナを甘く煮るときに1kgぐらいの砂糖袋をそのまま引っくり返したときには、メンバーみんなで絶句していたが、普通に程よい甘さだった。

(そして、段々そういったことに慣れてきた笑)

 

とはいえ、そのほかにやることなく、日が暮れるまで何をするわけでもなく、ただ本当にゆっくりしていた。

メンバーと話したり、スマホを見たり、庭にある木になっている果物を観察したり。

変な言い方だが「時間を有意義に無駄遣いした」という表現がぴったりの過ごし方だった。

自分の目の前に膨大な時間があり、それを好きなように無駄遣いする、していい。

フィリピンに来て1日も経たずに、日本で普通に生活していたら絶対にできない経験をしていた。

 

と、同時に日本であくせくしながら生きることの無意味さも感じるようになってきたのだが、そこまで書くとまた話が長くなってしまうので、ここでは割愛する。

 

1時間遅れが当たり前のフィリピーノタイム

色々なことを感じつつも、日没になると庭の松明に火が付いた。

さながらキャンプファイアーのような雰囲気になる。

晩御飯のメニューはバーベキュー。

鳥やら牛やら何の肉だかよくわからない物体Xも含めて次々と焼かれていく。

 

 

そして、この時点でフィリピン人のメンバーもヴィーノの家に来ることになっていた。

フィリピンメンバーはみんな学校やら仕事やらあるので集まれる人だけで集まって、食事をしようということである。

ただ、ここで問題発生。

時間になってもフィリピンメンバーが来ないのである。

車で迎えに行っているので道が混んでいて遅れている可能性もあった。

しかし、ヴィーノ家はかなり田舎にあるのでそこまで道が混んでいるとは思えなく、仮に混んでいたにしても来るのは遅かった。

 

ということで、待ち状態の僕たちが取った行動が「先に食べる」という名のつまみ食いであった(笑)

いい年した大人たちがさながら小学生のように肉をつまみ食いしていく。

鳥、牛、よくわからない肉。

色々な種類があったがいずれもタレと絶妙に絡み、美味しかった。

「これ、フィリピンメンバー来る前に腹いっぱいになるんじゃね?」と思い始めた頃に、ようやくフィリピンメンバーが到着した。

 

と、ここでも日本とは違う文化が垣間見えた。

日本ではこういった場合、遅れてきた人はまず一言、謝るだろう。

本人に非がなくても、遅れてきたことに変わりはないから取りあえず謝る。

日本ではこれが一般的である。

 

しかし、フィリピンの人は別に謝りも申し訳なさそうにもしない。

至って、普通にしているのだ。

「Hello~^^」なんて言っている。

別に彼らが非常識というわけではない。

時間に遅れることはフィリピンの人にとって普通のことなのだ。

彼らは時間の進みを全くといっていいほど気にしない。

「フィリピーノタイム」と言っていたが、フィリピンの人は日本人から見たら異様なまでに時間にルーズなのである。

10分前行動なんて絶対にしない。

むしろ、1時間後行動をするぐらいの勢いである。

(というか実際にあった笑)

 

フィリピンの人にとって約束した時間はあくまで目安の時間なのである。

1時間後集合と言ったら、日本人は1時間後にキッチリ集まるが、フィリピン人は1時間経った頃からようやく準備を始める。

良いとか悪いとかそういう話ではない。

日本人からしたら非常識、極まりないが彼らにとってはそれが常識なのである。

「そんなに時間にしばられて何が楽しいんだい?」

フィリピンの人からするとこういうことなのである。

 

僕はこれを知った時に純粋に羨ましいと思った。

もちろん、日本でフィリピーノタイムを発動したら確実に怒られるだろう。

「遅刻上等!!」なんて言っていたら周りから干されること間違いなしだ。

だから、日本でやろうとは思わない。

でも、毎日毎日、

「ヤバい!時間が!」

なんて言って、時間にがんじがらめにされているのってどうなんだろうとは思った。

 

やってみればわかるがフィリピーノタイムは非常に楽なのである。

自分も他の人も変に時間に縛られない。

時間を過ぎて、まだ準備をしてない人がいても、

「まったくしょーがねーなぁ、あいつは(笑)」

なんて言って、みんなで笑っているのだ。

 

みんながキッチリ集まるけど、精神的には圧迫感を感じる日本式。

精神的に楽でおおらかになれるけど、時間になっても全然集まらないフィリピン式。

良いとか悪いとか、正解とか不正解とか、そういったことではない。

自分なりの解釈で自分なりの考えを持てばいいことだと思う。

ただ、ちょっとフィリピンの人がうらやましいとは思った。

 

英語なんて完璧じゃなくていい

そのあと、集まったメンバーで肉を食べ、ビールを飲みながら、しばし談笑。

フィリピンメンバーは英語とタガログ語しか話せないので、こちらが何とか英語で会話をする。

こう言うと、今回の日本人メンバーが英語が話せるのではないかと思うかもしれないが、そんなことはない。

大半のメンバーはまともに英語が話せない人たちだ。

中学生でも知っているようなつたない英語でなんとか自分の意思を伝えようとしていくのである。

そんなんじゃ会話にならないと思うかもしれないが意外となんとかなるものである。

 

ぶっちゃけ、単語を言っていれば、それだけで通じることもある。

相手にしているのは機械ではなく人間である。

完璧な英語を話さないと通じないなんてことはない。

例えば、新宿を歩いていて外国人が、

「私、行きたい、駅、新宿ステーション、道」

って言ってきたとしても、普通に意思疎通ができるのと同じである。

別に完璧な日本語を言えなくても通じるのである。

それに外国人が頑張って、日本語を話してくれていれば、こちらだって何とか理解してあげようという気持ちにもなる。

「何だ、こいつ。まともに日本語しゃべれるようになってから日本に来やがれ」とは思わないだろう。

 

それと同じ。

だから、たとえ笑ってしまうような英語でも問題ないのだ。

日本ではどうしても完璧な英語を話さないといけないみたいな空気があるが、そんなことはない。

どうして日本人は自分たちをどんどん苦しい方向に追い込んでいく気質があるのだろうかと思った。

 

 

ということで、フィリピンメンバーと話をしつつ、23時前に解散になった。

3日目はあるリゾート施設に行くことになっている。

出発は朝の3時である。

「……起きれる気がしないなぁ」

「まぁ、他のメンバーが起こしてくれるでしょ」

いい感じにフィリピンのテキトーさが身についてきた2日目であった。

 

フィリピン探訪記2日目 fin